吉本道雅 左传成书考.pdfVIP

左伝成書考 本道雅 吉 成書年代に関する議論 『左伝』の成書については、なお不明の点が多い。 一体、ある文献の成書については、『呂氏春秋』序意や『史記』太史 公自序など、その文献の著者による序文がある場合は問題ないが、それ が無い場合は、他の文献の記述に依拠して考えるしかない。『左伝」の 場合、その成書に関わる最古の記述は、『史記』十二諸侯年表に見え、 そこでは、孔子の同時代人左丘明の著作とされ、従って『左伝」の成書 は孔子の死（前479）を隔たること遠からぬ前５世紀前半のこととなる。 左丘明と『左伝」の関連は、『左伝』の記述内容自体には傍証を得ず、 vkr 『左伝』なる書名が左氏の著作を示唆すること、『論語」ｌこ孑L子と好悪 を同じくする人物として言及される左丘明【注ｌ】が、春秋伝たる「左伝』 ,粕．. [の制作者に似つかわしいといったことからあるH寺点で創作されたもので ･金蝿７ ｔあろう。 鰯とのようないわば｢左伝』の｢外｣から構築された説に対し､唐の趙 匡ｂ唆助、宋の王安石・葉適・鄭樵・朱嘉、清の顧炎武・眺黛・崔述ら 患.３，－ 節ま（『左伝」の「中」に立ち入り、その記述内容を根拠に、戦国期の成 ,篭:(家い ｢書たることを主張するに至った【注２】・記述内容に基づき『左伝』の成 し下Ａ，～ ﾎﾟ書年代を推定するための論点は、これらの議論に基本的に出揃っている といってよいが、とりわけ顧炎武が予言に着目し、戦国期の史実との比 j較によってその験不験を論じ、成書年代を推定するに至ったことは特筆 ｈｒＬ △．_.８． に値する。 ついで劉逢禄・康有為は、前漢晩期における『左伝」官学化の推移に 五 小曲・￣。 －１－ ｛ 吾 Ｉ 一 Ｉ 一 ｑ１ 蕊 Ｉ 壗 乱