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幹細胞の運命を決定するシグナル ES細胞の自己複製を維持するシグナル 山中伸弥 マウスES細胞の自己複製 を維持する因子 として,サイ トカイ ンLIFとその下流で機能する転 写因子STAT3の重要性がよく知 られてい る.また,ホ メオボ ックス転写因子Oct3/4も必須 である.しか し,LlFはヒ トES細胞の 自己複製を維持できない.さ らにマ ウスES細胞 におい てもBMPやWntなどのLIF以外のシグナル伝達経路や,Nanogなどの新 しい転写因子の重要 性が認識されつつある.本稿では,ES細胞の自己複製機構 に関する最近の急速な研究の進展 を 紹介する. 分化多能性 サイ トカイン 増殖因子 転写因子 e c i v r e S e n i l は じめに n O e 胚性幹細胞(ES細胞)は初期胚(ブラス トシス ト)の内 c I.LIF/gp130/STAT3 n e 部細胞塊 に由来す る幹細胞であ り,成体 を構成す るすべ i c S e ての細胞へ と分化できる能力(分化多能性)を維持 したま マ ウスES細 胞 は胚 盤胞 よ り単離 した内部細 胞塊 をマ f i L ま,半永久的に増殖可能である.ES細胞は1981年にマ ウ ス 胎 仔 線 維 芽 細 胞(mouseembryonicfibrob1ast; r o f ウスで樹立 され1,2),ノックアウ トマ ウス とい う画期的 MEF)上で培 養す るこ とに よ り樹 立 され,そ の後 の培養 r e t な遺伝子機能解析法 を生み出 した3).1998年にヒ ト受精 にお いて もMEFを フ ィーダー細 胞 と して用 い るこ とに n e C 卵か らES細胞が樹立 されてか らは,再生医学への応用 よ り分 化 多 能性 が 維持 され る1,2).Smithらお よびWil e s a b が期待 されてい る4).ES細胞か ら大量に作 製 した膵臓 liamsらはMEFが 産生 す るES細 胞 の 自己複 製 維 持 因 a t a D β細胞,神 経細胞,心 筋細胞などを,糖尿病,神 経変性 子 が 白血 病 阻害 因子(leukemiainhibitoryfactor;LIF) 疾患や脊髄損傷,そ して心筋梗塞 などの患者 に移植 し, で あ る こと を見 い だ した5,6).LIFの同 定 に よ りマ ウス 治療 に利用できると考 えられてい るのである.しか し, ES細 胞 の培 養効 率 は飛躍 的 に向上 した.大 腸 菌 で産 生 ヒ トES細胞はヒ ト胚の破壊 とい う倫理的難題 を抱 えて し精 製 した組 換 え蛋 白質やLIF遺 伝子 発 現 ベ ク ター を いる.ま た現在 の ところ,ヒ トES細胞の維持 には培地 導 入 したCOS7細 胞 な どの培 養 上 清 を用 い る こ とに よ へのウシ胎仔血清の添加やマ ウス胎仔線維芽細胞 との共