国立天文台天体观望会.DOC

国立天文台天体観望会 解 説 資 料 今日の天体「いるか座γ」 2000年9月23日 今日の星空 今日の観望天体 いるか座 見つけ方 神話 いるか座γ星 二重星とは 3.1見かけの重星 3.2 連星 連星の頻度 連星 4.1 実視連星 4.2 分光連星 4.3 食連星 4.4 連星から分かること 天文学トピックス 今日の星空 　　秋分の日を境に、夜のほうが昼よりも少しずつ長くなっていきます。日暮れがずっと早まってきたのを実感できます。 　その分、星の見え始めるのも早くなってきました。 　　宵の頭上には、夏の大三角形をはじめ夏の星座が輝いています。南の空の夏の代表さそり座は早くも西に傾いています。　 　北東の空を見上げると、カシオペア座が昇ってきています。夜が更けると、ペガスス座の秋の大四辺形アンドロメダ座、ペ 　ルセウス座、はたまた南の空にはみずがめ座、うお座、と、華やかさこそ夏に比べて少ないものの、秋の主役たちが夜空を 　彩ります。夜半を過ぎると、東の空には早くも冬の星座たちの輝きが顔を出し始めます。おうし座のプレアデス星団の近く 　には、木星、土星が並んで巨光を放っています。 　＜天文現象＞ 　　23日　2h28m　秋分 　　　　　長周期変光星ミラ(くじら座)が極大光度 (周期332日 変光範囲2.0～10.1等) 　　24日　2時ころ　M44プレセペ (散開星団) の食 (月齢25) 　　28日　新月 Stellar chart is required to be here. 2 今日の観望天体 いるか座 2.1.1 見つけ方 　天の川東岸、わし座の1等星アルタイルの東に、3個の4等星と1個の5等星が作る小さな菱形が見つかります。α－β－γ－δが作る四辺形にβ－η－εと尻尾を伸ばすと、天空を泳ぐ一頭の海獣の姿が描き出されます。これが「いるか座」です。とても小さい星座ですが、整った形は暗い空では一目でわかります。 　地中海では昔からイルカを神聖な動物と考えていました。これは、船乗りたちに航海の季節を教えたため、海神ポセイドンの使いと信じられていたためといいます。死者の魂を運ぶ動物とも信じられていたため、天の川の近くに置かれたのかもしれません。 　α星にはSualocin(スアロキン)、β星にはRotanev(ロタネヴ)という固有名が与えられています。長い間，どのような意味で名づけられたのか分かっていませんでしたが，あるときその謎が解けました。パレルモ天文台の台長だったイタリアの天文学者G.ピアッツィが1814年に発表した星表の中で，　助手のニコロ?カッチャトーレ(Nicollo Cacciatore)の姓名をラテン語表記したニコラウス?ヴェナトール(Nicholaus Venator)を逆に綴ったものを星の名につけたと言われています。 2.1.2 神話 海神ポセイドンの使い 　海神ポセイドンが、老神ネレウスの娘女神アンフィトリテが他の娘と一緒に輪になって踊り楽しんでいるのを見初め、妻にしようとしたときのこと。アンフィトリテは逃げ出して、海神オケアノスに匿ってもらいました。「どこにいったのか…」ポセイドンがいくら探してもアンフィトリテの行方は杳として知れません。そのとき女神の居場所をそっとポセイドンに教えたのが一頭のイルカでした。アンフィトリテはポセイドンの妃となり、イルカはこの功績によって空に上げられたといいます。 音楽の名手アリオンの物語 　紀元前5世紀のギリシアの歴史家ヘロドトスは、紀元前6－7世紀に実在したとされるギリシアの詩人で音楽家であったアリオンについて伝えています。 　レスボス島に生まれた詩人で、琴の名手だったアリオンは、コリントス王ペリアンドロスの宮廷にあり、王から寵愛を受けていました。シケリアで音楽の競技が開かれたとき、たっての願いでそれに出場したアリオンは莫大な賞を得て帰国の途にありました。ところが、アリオンの持つ宝物に目のくらんだ暴虐な水夫たちは賞金を奪うと、アリオンに海に身を投げるよう迫りました。助からぬ命と悟ったアリオンは最期の願いに今一度歌を歌わせるよう請いました。「吟遊詩人にふさわしいものとして死なせてくれ。」名高い音楽家の歌が聞かれるとあり、さしもの水夫たちもこの願いを聞き届けました。そのときのアリオンのいでたちは、金と紫の目もさめるような衣服、胴着は体の周りにゆったりと優美な襞を作り、宝石が両腕を飾り、額には黄金の花輪、首から肩へ流れる髪にはいく種類もの香料が振りかけられた艶やかな姿でした。アリオンは象牙の撥で竪琴をかき鳴らし、美しい声で歌い始めました。「さあ、ネレイスたちよ、あなたたちの慈悲に身をゆだねるこの身をお迎えください！」アリオンは船縁から身を躍らせました。 　しかし、アリオ