不确定性の高い地震作用に対する 构造技术战略としての钝 - j-stage.pdf

土木学会論文集A1（構造・地震工学）, Vol. 70, No. 4（地震工学論文集第33巻）, I_535-I_544, 2014. 不確定性の高い地震作用に対する 構造技術戦略としての鈍構造の提案と その適用事例に関する一考察 1 2 高橋良和 ・日高 拳 1正会員 博(工) 京都大学准教授 工学研究科社会基盤工学専攻 （〒615-8530 京都市西京区京都大学桂） E-mail:takahashi.yoshikazu.4v@kyoto-u.ac.jp 2学生会員 京都大学大学院工学研究科（〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄） E-mail:hidaka@catfish.dpri.kyoto-u.ac.jp 本研究では，地震作用による機能損失に鈍感な構システムを鈍構と定義し，その実現方法・課題に ついて整理する．そして，鈍構の概念に基づく適用事例として， 「入力の特性の変化に対し，応答の特 性の変動が小さいこと」を応答改善効果と考え，振動特性を不均質にした構システムの応答特性を，不 規則振動論に基づき解析的に評価した．その結果，構特性が均質な場合に比べ，構特性を不均質にす ることで，変位応答平均値の減少に加え，入力の特性の変化に対する最大変位応答値の変動をも小さくす ることができる可能性を明らかにした． Key Words : insensitive structural system, uncertainty, seismic response, random vibration 1. はじめに 対して常に後手にならざるを得ない．すわなち，地震外 力に鈍感であることが，不確定性の高い地震外力に対す 現在の耐震工学は，耐震・免震・制震という技術を核 る構技術戦略として相応しいと考える．本論文では， とする体系を築き上げ，発展してきた．それぞれの体系 鈍構を実現するための背景，手法を整理するとともに， の枠内で積み重ねてこられた検討により，それぞれの分 その概念に基づく適用事例として，振動特性を不均質に 野のその知識は深まってきた一方で，その枠組みが壁と した構システムの応答改善効果を評価する． なり，分野間の交流が阻害されてきたことも事実である． 科学史家であるKuhnは，科学の飛躍的な進展は，時代 2．構造物の地震時挙動に関する不確定性 の背景とともに，既存の体系の枠組みからはみ出した新 しい発想・発見によるものであることを指摘し，これを (1) 地震作用の不確定性 1) 新しいパラダイムの形成と呼んだ ． 地震の不確定性は古くて新しい問題である．地震に関 では，現在，耐震工学においてパラダイムシフトとな する知識や記録が乏しかった時代はもちろん，観測網が り得る概念は何か？そのキーワードのひとつが「地震作 充実し，多くの知識や記録が得られるようになった現代 用による機能の損失に鈍感な構（鈍構）」であると でも，多様な特性を有する地震動が観測されており，地 考える．土木構物の建設において考慮すべき荷重等の 震動の不確定性に対する認識は高まるばかりである． 外乱は，風・水や地震などであり，他の工学分野に比べ 耐震設計においては，実地震動をモデル化し，設計に て極めて不確定性・不確実性が大きい．我が国の構設 おいて地震作用として考慮すべき設計地震動を設定する． 計において，特に不確定性が高い外乱は，偶発作用であ 兵庫県南部地震以降，大きく研究が進み，社会に還元さ る地震であろう．この不確実性の高い地震作用に対し， れてきた分野のひとつとして，工学的地震動が挙げられ 構分野はいかに対応すべきか．地震の不確定性が高い る．従来の耐震設計では，基本的には日本各地で得られ 以上，設定した設計地震動