手賀沼底質における深度別放射性物質調査.PDF

手賀沼底質における深度別放射性物質調査 中田利明，井上智博，飯村 晃，横山智子，平間幸雄，藤村葉子 １ はじめに 5cm 毎に切 り分けて分析試料とした。 福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性 それぞれの分析試料について，放射性セシウム濃度 物質は，千葉県北西部の沼及び河川底質に堆積してお （Cs-134,Cs-137），強熱減量，粒径分布等を測定した。 1) り，2012 年に行った調査 等から,特に手賀沼及びそ の流入河川の底質で比較的高い濃度の放射性セシウム ３ 結果と考察 が検出された。また，これまで実施された底質調査は ３・１ 手賀沼底質の放射性セシウム濃度の分布 エクマンバージ採泥器による底質表層を採取した調査 表 １に各調査地点の概況を示す。底質中の放射性セ であり深度方向での情報が少なかった。 シウム濃度は，最深で30～35cm の層まで見られ，各 1) そこで，本研究では手賀沼における放射性セシウム 調査地点の最高濃度は2012 年調査 の傾向と同様に， の動態をより詳細に把握するため，深度別の底質調査 沼の西側 （大堀川河口）ほど濃度が高く，放射性セシ を行った。 ウムの沈着量が多いとされる沼西側地域の影響を受け ていると考えられた。 ２ 調査方法 ３・２ 各調査地点の深度別放射性セシウム濃度と強 2013 年 3 月に手賀沼内の 4 地点について深度別に 熱減量 底質を調査した。（図 1 及び表 １） 図2 に各調査地点における深度別の放射性セシウム 底質の採取は，離合社製佐竹式コアーサンプラーに 濃度，強熱減量の結果を示す。（同一地点で採取位置が 内径 53mm ×長さ50cm のアクリルパイプを装着し， 異なる2～3 箇所の結果を凡例別に示した。） 各調査地点で約 2m 程度の間隔をあけて2 箇所以上採 図2 のとおり，同一調査地点では採取箇所の違いに 取した。採取した底質は，実験室において表層から深 よる深度別の放射性セシウム濃度分布及び強熱減量の 度 20cm までを2cm 毎に，それ以上の深度については 分布に大きな違いは見られなかった。 大堀川 St.1 St.3 大津川 St.4 St.2 水の流れ 至 利根川 染井入落 図 １ 調査地点 表 １ 調査地点の概況 放射性セシウム(Cs-134+Cs-137)が 放射性セシウム 記号 地点名