姿勢制御アプローチ pine ynamics理論による慢性痩痛.PDF

（総説論文） （骨・関節系理学療法専門部会） 姿勢制御アプローチ Spine　Dynamics理論による慢性痩痛疾患の捉え方 糞下敏文　RPT脇元　幸一　RPT　渡邉　純RPT 島谷　丈夫　RPT尾崎　純　RPT宿元　順一　MD キーワードニSpine　Dynamics療法、慢1生痺痛、筋緊張先進、体力低下、脊柱齊曲アライメント 諸言 1．慢iw1i］痛疾患の考え方 　近年、西洋医学と代替医療を併せた統合医療（工ntegrative 　我々は臨床において、多くの慢性痺痛患者と対峙する。そ Medicine）が脚光を浴び、米国ではアリゾナ大学のアンドリ の際、ほとんどの慢1墜痛患者に共通した問題点として、「筋 ューワイル博士による戦野教育が積極的に行われている。ア 緊張充進」「体力低下」「脊柱湾曲アライメントの異常」が確 ンドリューワイル博士は、西洋医学にできることとして「外 認される。 傷治療」「緊急事態の処置」「感染治療と予防」「人工関節や自 　これら「筋緊張充進」「体力低下」「脊柱弩曲アライメント 家組織を用いた再腱術」などがあり、西洋医学にできないこ の異常」が複雑に絡み合い、体幹・四肢関節へのメカニカル ととして「ウイルス感染治療」「精神疾患」「アレルギー」「自 ストレスの増大が慢性的な痛みを形成するものと捉えること 己免疫疾患」「うつ病などの心身相関疾患」「悪性腫瘍」、そし ができる。 て「慢性癒痛疾患の治療」を位置付けているD。世界的に観 　Spine　Dynamics療法は、慢1墜痛を実質的または潜在的組 ても慢性癒痛疾患に対する客観的評価および治療法は確立さ 織損傷の背景を有するものと捉え、慢性痙痛疾患に共通する れておらず、対症療法が中心となっている。 機能的問題点を客観的に評価し、1自己医療を含む効果ある治 　近年日本においても慢性疹痛疾患に対し積極的な論議がな 療体系で解決する事を目的としている。この1定性痺痛疾患に されている。2010年9月に厚生労働省にて行われた「慢性の 共通する機能的問題点と評価方法について紹介する。 痛みに対する検討会」議事iには、「慢性の痛みは、原因疾患 のみならず生活環境、行動様式、個人の性格等を反映するた 2．慢性捧痛疾患に共通する問題点と評価法 め、個々の症例に応じてきめ細やかな対応が求められる。痛 みを完全に取り去ることは困難であるが、痛みの適切な管理 2－1　　　「筋緊弓長ブ七進」 と理解が必要であり、痛みと向き合うことが求められている。 生体内には生命を維持するために、目に見える振動と目に 痛みの緩和、痛みと関連して損なわれる生活の質や精神的負 見えない振動が存在する。 担の改善を目的に、医療や社会、医療を取り巻く人々や国民 生体内に生じるこの2種類の振動は、電気的振動と機械的振 自身が、それぞれの立場で計画的かつ協力的に痛み対策に取 動に分類され、電気的振動には脳波、筋電図、心電図などが り組む事が重要である」として最終回を取りまとめている。 あり広く周知されている。一方、機械的振動は生理的振戦、 これに対し、IASP（lnternational　Association　for　the 震え、マイクロバイプレー・ション、筋音などに分類されてい Study　of　Pain：国際落痛研究学会）は、慢性痺痛疾患とは る。人間の活動において、最初に発生する生体清報は電気的 「実質的または潜｛在的組織損傷に関連して述べられるような、 振動であり、電気的振動により生じた心筋を除く横紋筋の活