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■ 会員 Now 株式会社日立製作所の風力発電システムの紹介 －エネルギーの進化を明日につなぐ－ 電機システム事業部 発電機システム本部 松信 隆 Tel0294-21-1111、takashi.matsunobu.vg@ １．はじめに 環境意識、環境問題の広がりは、将来にわた る地球規模での課題となっている。株式会社日 [1] 立製作所は 「環境ビジョン 2025」を掲げ、2025 年度までに年間 1 億トンの CO2 排出抑制に貢献 することを目標としている。環境・省エネ関連 分野を重点領域として位置づけ、風力などの 個々の自然エネルギー推進と、原子力などによ る従来エネルギーとの組合せた次世代型電力 網の実現が主要な方策である。 ここでは、「環境ビジョン 2025」のうち、主 として、富士重工業株式会社と共同で開発した 大型ダウンウィンド風車(SUBARU80/2.0)の設 注：略語説明 IGBT (Insulated Gate Bipolar 計概念、建設状況及び今後の展開について紹介 Transistor)、SUBARU80/2.0 (ブレード直径 80m、出 する。 力2,000kWのダウンウィンド2MW機量産機の型式名) 図 1 ダウンウィンド 2MW機の量産機 ２．設計概念・導入状況 (SUBARU80/2.0)及び発電システム 風力発電システムの設計において、発電効率 写真左は、株式会社ウインド・パワー・いばらき、 向上、風力発電設備の大型化、建設工法の合理 かみす風力発電所。写真右上は高圧 IGBT素子。写 真右下は、2,000kW 交流励磁型同期発電機。 化、工期短縮、修理や点検の簡易化により、発 電コストを低減し、発電事業として成立し易く に配置したアップウィンド風車が一般的であ する検討が進められてきた。株式会社日立製作 るが、量産機では、ロータをタワーより風下に 所は、富士重工業株式会社と 2010 年に、茨城 配置している(図２参照)。量産機の主要仕様を 県神栖市において大型風車ダウンウィンド風 表 1に示す。 車(SUBARU80/2.0)の量産機(以下「量産機」と 量産機には、IEC(国際電気標準会議)の風力 略称する)を用いた株式会社ウインド・パワ 発電システムの国際規格「IEC61400 シリーズ」 ー・いばらきのウインド・パワー・かみす風力 に規定される風車に比べ下記の改良を加えた。 発電所(定格出力 14MW、2MW×7 基)が完成し運 (1)複雑・山岳地の吹上風を捉え発電量を増 転を開始した(図 1参照)。量産機には、日本の 加 環境に適合した風力発電システムとして、台風 (2)耐風速(台風・停電時の強度) を や雷、山岳地の風、狭隘な道路環境、据付に用 向上 いる重機等の搬入、電力系統への連系などに配 (3)IECを超えた正極雷への耐性を確保 慮した各種の改良を加えている。 (4)電力系統への連系を容易にする電力制御 ３．基本仕様 の採用