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バイオインフォマティクスとは何か？ 大量データ時代の到来 持に関する転写因子の「狩り」にあたり、 換できるかを考える必要があります。 近年の分子生命科学の大きな特徴の 実験による成果がなかなか得られな バイオインフォマティクスは、先に述 一つとして、計測技術の進展に伴う大 かったところを、データベースを利用 べた仮説構築という形で“量”から“質” 量かつ多様なデータの生成が挙げられ した への転換を行っています。このような in silico 解析でブレイクスルーを ます。このような傾向は、70 ? 80年 得ています [1]。また、創薬ターゲット 処理では、構築される仮説の品質が問 代の塩基配列決定技術の進展に伴う配 として新規サイトカインやその新規受 われます。精度の悪い予測（仮説）は、 列データベースの構築に端を発し、そ 容体をゲノムデータベースやESTデー かえって研究や産業化を遅滞させるだ の後のゲノムプロジェクトやポストゲ タベースから相同性探索によって抽出 けです。また、“量”という観点からは、 ノム研究が進む中で加速化しています。 することに成功した例もあります [2]。 それを“質”に変換するのに要する時間 当面は次世代DNAシークエンサーが このような事例は多数見つけることが も大きなファクターとなるでしょう。 このような傾向を牽引することになる できますが、これらに特徴的なことは、 いかに精度の高い予測が得られるとし と思われます。分子生命科学に携わる バイオインフォマティクスが仮説構築 ても、その計算に100年もかかるよう 研究者は、自身が網羅的（ゲノムワイ に利用されていることです。これまで では意味がありません。さらに、“量” ド）な研究に関与していなくても、これ の仮説検定型と異なり、バイオインフォ を“質”に転換するという意味で重要な らのデータと向き合っていかざるをえ マティクスは大量のデータから新たな こととして、情報の統合が挙げられま ない状況にあり、このデータの海から 仮説を導きだし、研究を新たなステー す。大量データには、ゲノム配列だけ 必要な情報を効率的に抽出できるかが、 ジに引き上げることができます。仮説 ではなく、トランスクリプトームやプ 研究を成功させる重要なファクターと 構築を言い換えると「予測」ということ ロテオームのようなさまざまな種類の なってきています。しかし、そのよう になります。ゲノム創薬におけるター ものがあります。これらのデータはそ な大量かつ多様なデータを人力で処理 ゲット探索も仮説構築の一種といえる れぞれ生命活動の1側面を切り出した することは不可能であり、情報科学の でしょう。仮説検定型研究では、研究 ものであり、これらを統合することで 助けなしに研究を進めることは困難に 者の経験や知識から立てられた仮説を 初めてシステムとしての生命の全体像 なってきています。バイオインフォマ 検証する形で研究が進められます。し がみえてきます。そのためには、それ ティクスの生命科学における重要な役 かし、自然はしばしば人間の憶測から らのデータを統合的に扱える柔軟なプ 割の一つとして、情報の大海の中で研 外れた挙動を示すことがあり、その場 ラットフォームの構築が必要になるで 究者をナビゲートし、医薬、農学を含 合は仮説構築型の研究が有効で、バイ しょう。よりよい仮説をより迅速に構 む生命科学の新たな知識獲得へ至