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資料 ５－ １ 米国情報 IN2016-02 「原子炉圧力容器監視カプセルの不適切な据付け」について 平成 28 年 3 月 25 日 原子力規制企画課 １．はじめに 原子炉圧力容器の胴部 （炉心領域部）においては、中性子照射とともに脆性 ※ 遷移温度 （関連温度）が上昇 し、上部棚吸収エネルギー が低下することが広 く 知られており、このような現象を中性子照射脆化と呼んでいる。 この中性子照射脆化の進行状況を把握するために、プラン トの運転開始当初 から原子炉圧力容器と同じ材料の監視試験片を炉内に装荷 し、定期的に取出し て、その状態を調べる試験が行われている。 米国のプラン トで、この監視試験片を入れた監視カプセルの据付けが適切で なかったために原子炉圧力容器内にカプセルの内容物が散乱するという事象が 発生 した。この事象は、カプセルの据付けが適切でない場合には、燃料集合体 を含む原子炉圧力容器内の内部構造に損傷を与える可能性があることを示すも のであり、以下に事象の概要と国内の状況について報告を行う。 図 1 中性子の照射脆化について （出典 ：「原子炉圧力容器内の中性子照射脆化について」、平成 24 年 8 月、原子力安全 ?保安院） ※上部棚吸収エネルギー：監視試験片をシャルピー衝撃試験で割った時の試験片の破面が全て延 性破面となる試験温度での吸収エネルギーであり、高温での鋼材の粘 り強さの評価に用いている。 上部棚吸収エネルギーは、原子炉圧力容器が中性子の照射を受け積算照射量に応 じて脆化が進む と低下する。 ２．米国の事象の概要 (1)米国のセコヤー1 号機 （PWR）は、1981 年に営業運転を開始 したが、圧力容 器材料に対する中性子脆化の影響の試験を実施するために、運転開始当初から8 個の監視カプセルが原子炉圧力容器内に設置された。 10CFR50 付則 H 「原子炉圧力容器材質監視プログラム要件」の監視カプセル取 出し要件を満たすために、2013 年までに、1 号機の監視カプセル 8 個のうち 4 個が取 り出されて試験が実施されていた。（図 2 参照） (2)2013 年 11 月の定期検査中に、残 りの 4 個のうち 2 個の監視カプセルを当初 の位置から、原子炉圧力容器内の中性子照射量がさらに高い位置へ移動 した。1 号機の運転開始後、中央制御室のルースパーツモニターのアラームが鳴ったの で、調査を実施 したところ、約 1 ポン ド （約 0.454 ㎏）のルースパーツが原子 炉圧力容器下部に存在することが予測された。 (3)その後、2015 年 4 月の定期検査時に、ルースパーツの詳細な調査が開始され た。その結果、ルースパーツの発生源が前回の定期検査中に再配置された 2 個 の監視カプセルであることが判明した。これ らの 2 個の監視カプセルは、再配 置の際に貯蔵バスケッ トに適切に据付けられなかったため、原子炉の運転中に バスケッ トから剥離 し、燃料集合体のノズルの上流側の原子炉圧力容器内に、 カプセル、スペーサ、計装機器部品及び照射試験片の 200 個以上のルースパー ツが散乱 したと考えられる。原子炉圧力容器内部構造物に軽微な摩耗が発生 し ていることも確認された。 認可取得者は、原子炉圧力容器と炉心バ レル、下部炉内構造物及び底部圧力 容器ヘッ ドから散乱 したルースパーツを除去 した。また、燃料集合体のノズル フィルタスクリーンが損傷 していたために 2 体