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Ⅰ　手引きの策定趣旨 現在、職場における労働者のメンタルヘルス活動の充実化は事業場での重要な課題の一つとなっている。 厚生労働省は、メンタルヘルス不調により休業中の労働者の職場復帰支援を図るため、「労働者の心の健康の保持?増進のための指針」及び「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き Ⅱ　技法開発?好事例等に係わる手引き １．本事業の概要（担当：川上 憲人） (１)健診機関スタッフと事業場との関係 本事業では、中小規模事業場等に医師等訓練を受けた専門家を派遣し、この事業場外資源を利用したメンタルヘルス不調で休業した労働者の職場復帰支援を試行的に行うことで、効果的な技術の開発と好事例を取りまとめることを目的としている。健診機関と事業場との関係は、事業場の規模や健診機関と事業場との契約関係によってかなり多様になりうる。健診機関ごとに対象事業場の実情や関係を考慮して、効果的な体制を作っていただくのがよいが、ここでは想定されるいくつかのパターンについて述べる（表１）。 ① 対象事業場が従業員50人以上規模の場合 ａ）嘱託産業医とは別に健診機関スタッフが事業場と契約する場合 健康機関スタッフは嘱託産業医と密接な連携を行う体制を構築することが重要である。この形態では、健康機関スタッフの支援?助言は主に産業医に対して提供され、産業医がこれを受けて事業者に指導?助言を行うことになることが多いと思われる。50人未満規模では産業医を選任する義務はないが、事業場の希望で産業医を選任している場合にはこれに該当する。 ｂ）健診機関スタッフ（医師）が嘱託産業医を兼任する場合 健診機関の医師がすでに対象事業場と嘱託産業医契約を結んでいる場合、本事業は通常の産業医業務を拡大した形で実施されることが多いと思われる。この場合、健康機関スタッフの支援?助言は主に産業医活動の一部として事業者に指導?助言されることになると思われる。50人未満規模では産業医を選任する義務はないが、事業場の希望で健診機関の医師を産業医選任している場合にはこれに該当する。 ② 対象事業場が従業員50人未満規模の場合 従業員50人未満規模で産業医がいない場合、健診機関スタッフは、再チャレンジ支援事業における派遣専門家として、事業場と契約することが考えられる。この場合には、活動の目標、健診機関スタッフの役割と責任の範囲、情報の流れ、個人情報への配慮、事業場への報告事項などについて事業場と相談し定めておくことが望ましい。事業場との契約は、包括的（今後生じる一定要件を満たす休業した労働者に対して全て適応される）に結ぶこともできるが、個別的な（特定の休業労働者に限定した）契約として結ぶことも考えられる。これ以外にも健診機関と事業場との間でこれまでに結ばれている契約関係（健診の事後指導など）を発展させる形で本事業を実施することも考えられる。 なお、このマニュアルでは、派遣される専門家を「健診機関スタッフ」、事業場内の主に産業医、看護職を「産業保健スタッフ」と呼ぶ。また、事業場の連絡担当者を社内キーパーソンとしている。 表１）　　想定される事業場との関係のパターンと主要な支援の流れ 従業員50人以上規模 従業員50人未満規模 産業医は健診機関とは独立 [（１）ａ）型] 産業医は健診機関から派遣[（１）ｂ型] 産業医はいない[（２）型] 支援関係者 労働者 メンタルヘルス不調により休業した労働者 事業場関係者※ 事業者、人事労務管理スタッフ、管理監督者 事業場内産業保健スタッフ等※ 産業医 衛生管理者 （看護職） 産業医＝健診機関医師 衛生管理者 （看護職） 産業医＝健診機関医師 衛生推進者 衛生推進者 事業場外資源（派遣専門家） 健診機関スタッフ（医師、保健師等） 健診機関スタッフ（その他） 健診機関スタッフ（医師、保健師等） 労働者の家族 家族内キーパーソン 主要な支援の流れ 健診機関スタッフ→労働者、及び健診機関スタッフ→産業医→労働者?事業者 産業医＝健診機関スタッフ→労働者?事業者 健診機関スタッフ→労働者?事業者 ※事業場関係者および事業場内産業保健スタッフの中から、社内キーパーソンを選定する。 社内キーパーソンは、事業場外資源である健診機関スタッフに対する事業場内の実質的な業務上のパートナーであり、健診機関スタッフとの間で企画?相談?連絡?社内調整?報告などの重要な役割を担う。産業医や保健師等がこれを担当することが望ましいが、中小規模事業場では人事労務管理スタッフが社内キーパーソンとなることが多いと考えられる。 (２)本事業の流れ 本事業の流れと各段階で実施される支援業務の例を（表２）にまとめた。実施事項の詳細は